51: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)21:26:29 ID:y6l
俺のバイク愛がわかるss書くわ…
高校を卒業した俺はバイクの免許を取った
二週間半で一気に取ったのもあり
バイクに乗るのが楽しみだった。
その時は周りの友人がビックスクーターに乗っていて譲ってもらえる
予定だったのでビックスクーターに乗るものだと勝手に思い込んでいたのだが
バイク屋にふらっと寄った時に俺は衝撃を受けた
そこにはスズキのバイク、ｲﾅｽﾞﾏ400があったのだ。

｢なんだこれ。くそかっけぇ…｣
ｲﾅｽﾞﾏ400は中型でありながらフレームは750ccのものを使っており中型で唯一の
油冷エンジンを積んでいるバイクで
何よりアイドリングの音が今まで俺が聞いたモノの中で
最高のものだった。

｢すげぇ！なんだこれ！なんだこれ！｣

値段は40万。貯金は20万円だったが大学の入学祝いで思いがけず10万も貰い、五月までバイトをして
ついに購入まで踏み込んだ。

友人
｢恐らくこれタンク錆びてるし
キャブレター汚れまみれで吹けわりいよ
ぜったいやめといたほうがいいって。｣

そんな言葉は耳に入らなかった
俺にはこのバイクしかないと確信があったのだ。なぜなら俺の身長は183cmで普通の中型ではバランスが悪い
それに最近のバイクにはない丸っこさが最高にエロかったのだ。
俺は惚れ惚れしていた。
 
INAZUMA400


引用元 http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1421927470/

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56: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)21:31:29 ID:y6l
俺はｲﾅｽﾞﾏ400に稲姫と名づけ嫁のように可愛がっていた。
オイルも3ヶ月たつ前に交換しタイヤや消耗品は全て新品に換えこのバイクと共に
死ぬまで生きると本気で考えていた。

59: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)21:36:00 ID:y6l
日本には付喪神と言う神、または妖怪がいることを
知っているだろうか？これは
百年モノを使い続けるとそれに魂が宿ると言った妖怪で
実際には百年使う程の愛を者に注ぐと魂が宿るというものである。
ついに俺の稲姫にも魂が宿った。
タンクからサイドカバーそしてシートへと
流れるような曲線をそのまま映したような
ボンッキュッボンな女性が現れたのだ。

稲姫
｢私を愛してくれてありがとう。
嬉しすぎて私、出て来ちゃった…笑｣

俺
｢うおおおお？！
なに？なにこれ！うおおおお｣

61: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)21:40:33 ID:y6l

俺は具現化した稲姫の付喪神と共に
いろんなところへ行った。幸せだった

｢わー見てみて！海チョー綺麗だよ！？｣

｢そーだな。お前のおかげでこんなに綺麗な海を見ながらうまいタバコが吸えるよ｣

｢ねぇねぇ！来週はどこにいこっか？｣

｢お前が居ればどこへだっていけるぜ！
次は九州を出て本州へ行こう！｣

｢わー！私、九州以外を走るのなんて
はじめてだよ！楽しみだなー♪｣

65: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)21:44:27 ID:y6l
俺たちは夏の間に思いつくところ全てに行った。
大学が始まるとレポートやバイトに追われなかなか稲姫との時間を過ごすことはできなかったが
それなりに楽しく過ごせていた
冬になった。

｢あれー？稲姫ちゃん！
どうしたの元気ないね早くお出かけしようぜ！｣

｢ふんっずっと私を置いて遊んでたくせに！｣

｢いやいやいや確かに一週間も
ほっておいたのは謝るよでも仕方ないだろ？
さ！機嫌直してエンジンかけてよ｣

｢いや！絶対

ぜーったいいや！｣

中古の古い車両はほっとくと
エンジンがかからない。
これだから困る…

78: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)21:55:42 ID:y6l

｢やっと機嫌直してくれたか？｣

｢うん。必死に私のこと押すんだもん
もう許してあげるよ…｣

｢もう！稲姫ちゃん！可愛い！！｣

｢ちょっと！やめてよー(照｣

｢よーし飛ばすぞ稲姫ちゃん！｣

稲姫ちゃんの鼓動が伝わってくる
この細かな振動は他のバイクにはない。心地よささえある。
そして高回転域に突入したとき
稲姫の歌声はハスキーなジャズシンガーが
サビに高音を歌い上げるように
甲高い音に激変する！！

｢これ！これだよこれ！これこれ！！｣

81: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:02:51 ID:y6l

｢ahーーー♪｣

｢あれ？稲姫ちゃん声変わった？大丈夫？｣

｢え？そんなことないよぅ！
大丈夫大丈夫！冬で喉があったまるのが遅いだけ！｣

｢そ、そうか？ならいいんだが…｣

だが悪い予感は的中した。
俺と出会う前から肺(キャブ）に問題があった稲姫ちゃんは
とうに走れる状態じゃなかったのだ。

｢あれ？稲姫？稲姫ちゃん？おい！どうした？返事しろよ！おい！おい！！｣

｢ふぇ？あ、ああ。ごめん。｣

｢大丈夫かよ？心配だな…一度スズキ専門のお医者さんに
いこうか？金なら心配すんな！貯金してるよ！｣

｢あ、ありが、と。今回は甘えるね｣

｢おう。お前はなにも心配すんな。
なにも心配すんなよな！｣

結果はタンクないのサビに肺が犯されることでエンジンに支障を来す
蔓延性錆肺炎症。
すぐにキャブの清掃が必要とのことだった

84: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:08:21 ID:y6l
友人
｢それでそれで？ｲﾅｽﾞﾏは大丈夫なのか？
修理費はいくらだった？！｣

｢あ、ああ。まぁなんとかな
気づいてやれなかった俺が恨めしいよ
10万程度だったよタンクも新品に変えた。｣

｢まじか。だからあれほど
あのｲﾅｽﾞﾏはやめろっつったのに
あんなバイクよりcbrとか新車で買ったほうが
安く済むに決まってんじゃんよ｣

｢あぁ？！テメーいまなんつった！！
テメーはなんのこだわりもない
バイクをただの足としてしかみてねーから
そんなことが言えんだよ！！
優等生のホンダに乗ってファッションライダー
やってろよks！！死ねよマジで！！｣

いくら怒ったからといって
あれは言い過ぎたかもしれない
でもそれだけ俺の家族をバカにされるのは嫌だった

87: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:13:42 ID:y6l

｢えへへ、ご心配おかけしましたー♪

…ごめんね…迷惑かけて…｣

｢何言ってんだバカ…お前が
おっちょこちょいなのは今に始まったことじゃねーよ
なにより元気でよかった。次はどこいく？
また○○山にでもいくか？｣

｢え？○○山？行ったことないよ？｣

｢おいおい…何言ってんだ
先月いっただろ？忘れたのか？｣

｢行ってないです。｣

ｲﾅｽﾞﾏと言うバイクについた
付喪神の稲姫…パーツを変えることで少しずつ
もとの稲姫と違っていたったようだった。

89: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:17:45 ID:y6l
｢なぁ稲姫。思い出せたか？｣

｢いや、どうしても○○山にいった
記憶だけないみたい…ごめんね…｣

彼女の表情が暗くなる…
俺は彼女の元気な顔がみたいのに
せっかく元気になったのに
どうしてこんなことに…

｢くそっ！昔の稲姫と違うんだ！
エンジンのかかりは良いし
トルクも見違えるようだよ
こんなの稲姫じゃねーよ！｣

友人
｢何言ってんだ
いいことじゃねーか
これで冬の朝も快適だろ？｣

｢それもそうなんだが…｣

心のどこかに穴があいたようだった…

91: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:24:45 ID:y6l

｢ねぇ。俺君…私の病気で
最近のもやししか食べてないよね？
体が軽いよ？私、負担になってない？｣

｢いやいやいやもやしハマってんだよ俺！
もやしめっちゃうまいぞ？安い美味いし
金がないわけじゃないんだが
貯金しててさ金が溜まったらお前に
オプションでもつけてやるよ！｣

｢そ、そう？ならいいんだけど…
たのしみにしてるね…｣

ーーーーーー

｢ねぇねぇ、やっぱりお金ないんでしょ？
どうして嘘つくの？私があなたに
迷惑かけてるならもう私のことはほっておいて？
どうせこれからまたパーツが変わって
私はあなたのことも！
忘れてしまうかもしれないのよ！？
早いところ手放した方がいいよ！｣

｢バカ野郎！！お前！！
俺がお前といたいそれだけだ！！
それに！変わらない人生なんてつまんねーだろ？！
変わっていくことが普通で、変わっていくことが楽しいんだよ！！
だから、だから…もう
俺から離れるなんて言わないでくれよ…
稲姫！なぁ！頼むからざぁあ！！｣

｢で、でも、私。もう車検も切れそうだし
もっとお金かかるよ？私、他にも
悪くなった所いっぱいあるよ！？｣

｢それでも！
たとえお前の車検が来ても！
お前が走れなくなっても！
立てなくても！俺が結婚してやんよ！！｣

その頃Angel Beatsにハマっていた。

94: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:30:42 ID:y6l
｢でも、車検が来たらお金…
払えないでしょ？困るでしょ？｣

｢そんときゃ金でもなんでも
借りてやる！例え友人からでも！！
どうやってでも金は集めるから！！｣

｢なんでわかってくれないの！？
車検通ってもその後どうするのよ！
そんなのいっときの気休めじゃない！！
私のことは！ほっておいて！！！！｣

｢そんときはそんときだろ！！
これ以上馬鹿なこと言うなry
あ、あれ？あれ？｣

ブレーキに異常が起きた…
前輪ロックしてるンゴｗｗｗｗ

死にたい。

97: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:35:16 ID:y6l
お医者さん
｢これは…ハンドル部の～(よくわからん
のオーバーホールが必要ですね。
あなたが買ったバイク屋まじ
ほとんど手付けずに売ってるぞww｣

｢わらいごとじゃねーよ！！｣

｢ついでに車検だして…
見積もりしてうーん。9万かな？｣

(見積もり後

｢フェンダー切ってあるねこれ
あとこれもこれもくぁｗせｄｒｆｔｇｙふじこｌｐ｣

｢えっえっ？まじ？
え？ちゃんと走ってたお？｣

｢いやー走っててもこれはw
これもふじここれもふじこ
ふじこふじこ。うん。15万かな
でもサービスするよ14万な｡｣

ファっ！？

99: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:40:48 ID:y6l

｢ちょっとまてよ？
40万で買って修理と車検で
もろもろ80万近く使ってるでコレ。
ｸｿﾜﾛﾀﾝﾊﾞﾘﾝｼｬﾝｼｬﾝｶｽﾀﾈｯﾄﾀﾝﾀﾝﾌﾟｯﾌﾟｸﾌﾟｰｼｬﾝｼｬﾝﾌﾞｰﾁﾘﾘﾘﾘﾘﾝｗｗｗｗｗｗｗｗｗ｣

｢俺君？大丈夫？！気を確かに！
どうする？この車両売って違うのに
乗るなんてどう？俺君次はssとかどう？｣

｢え？でも…あの…｣

｢いやーこれ車検だして
次の車検までにまたいろいろ壊れるよ？
普通にss乗れるよこれ…
乗り換えも視野に入れてていいと思う。｣

(…俺は．俺はどうしたいんだろう？
自分がわからない…怖い。
これが、思春期か？

100: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:45:54 ID:y6l

｢稲姫ちゃん…
お金なくてブレーキ治せなくて
ごめんな？もう少し待っててくれよ？｣

｢………｣

｢俺…お前以外に乗る気はないから…
もう少しだけ待っててくれ…
また、また○○山いこうな…｣


１ヶ月後

｢稲姫…起きてくれ…稲姫…！｣

｢え？私、どうしてたの？｣

｢ごめんな稲姫ちゃん。
ずっと直せてなくて…でももう
車検も通したしブレーキも治ったし
○○山にでもいこう！｣

｢え？○○山？なにそれ？｣

まさか…
稲姫は元の面影をほとんど
失っていた…
制動は上がり吹けは良くなりタイヤもグリップする
何もかもが快適になっていた。

｢バイクってこんなに
乗りやすかったっけ？｣

102: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)22:51:26 ID:y6l

｢俺君私が動けない間
浮気してないー？よね？｣

｢え？いやいやいやいや？
したわけないじゃん
何言ってんのお前？！なに？
何お前！は？は？！｣

俺は代車の本田今日子(HONDA Today
に乗っていた。
ノスタルジー沸き立つ原付の小さな車体。
安価で壊れてもすぐに直せそうな
華奢な体。少しの燃料でいくらでも走る
無尽蔵のスタミナ。

(原付って、すげぇな！


今日子
｢私ってさー代車じゃない？
だから雑に扱われるんだけど
あなたは大事に乗ってくれるのね…
嬉しいな…あなたは…私を…
傷つけたりなんか…しないよね？｣

今日子の体には無数の傷があった
かつての男たちにつけられた傷らしい…
酷いことをするやつもあるものだ

俺は気軽に乗りたい時に乗れるこの今日子との
関係にはまりこんでいた

108: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)23:00:42 ID:y6l

｢今日子、今日も頼むぞ｣

｢ええ。わかったわ。
今日はどこまでいくの？｣

｢今日も学校だよ
人様のバイクのお前に
無理させるわけには行かないからな｣

｢そんなこといって、ほんとは
もっと遠くまで行きたいんでしょ？
いやなことぜーんぶ忘れられるほど
遠く遠くまで。私が連れてってあげる。｣

｢？！
いや、、しかし。でも｣

俺は沸き起こる衝動を抑えられず
思い出の場所。○○山に向かった。

｢いつ来てもココは綺麗だ。
でもなにか足りない。なんだ？｣

｢なによ、私みたいな
バイクに乗っておきながらまだ
なにか足りないって言うの？なによ｣

｢なんつーかこう。
爽快感？いや、達成感か？
ココに着くときいつも感じてた
あの感じが足りない。なんだ？｣

｢なによ、それ。多分恋よ。
あなたはまだ誰かに恋してる。
あなたの相手は私じゃなかったってことよ
早く私なんて忘れてその人のところへ
帰ってあげなさいよ｣

｢今日子さん…｣

109: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)23:04:17 ID:y6l
俺は今日子の後押しにより
再び嫁に跨る決意をした。

俺の選択は間違ってなかったようだ。

｢ねぇ！ねぇってばぁ！
話聞いてるの？浮気！してないよね？｣

｢あ？ああ。でもいい出会いはあったよ｣

｢なによそれー？まぁ、
帰ってきたからいいんだけどさっ♪｣

このバイクが俺にとって
どれほど大きかったか知るには
いい機会だったのかもしれない。

112: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)23:18:46 ID:y6l

なんか泣けてきた
割とガチで。なんで俺がこんな目に…
一度も事故らないバイク乗りもいるだろうに…
なんで俺と稲姫ばかり
こんな目に！！
今日はここまでにするか…

113: 名無しさん＠おーぷん 2015/01/22(木)23:28:21 ID:y6l
ああああああああああ
稲姫たんの思い出の写真見るの
辛すぎるんごおおおおおおお！！



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